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モーツアルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」 わずか45小節の悲しいまでの美しい合唱曲

「アヴェ・ヴェルム・コルプス K618 」は、モーツアルトの晩年、彼が亡くなる半年前の35歳の時に作曲された宗教曲です。「アヴェ・ヴェルム・コルプス」とは、ラテン語で日本語に訳すと「めでたし、真の御体」という意味。歌詞の大意は「めでたし、真の御体よ。人々の犠牲となった方よ。臨終の試練を教えたまえ。慈悲深きイエスよ」と言う内容の歌詞です。
「アヴェ・ヴェルム・コルプス」は、モーツアルト以外の作曲家でもウィルアム・バードや、近代ではフォーレの作品が知られています。

さて、モーツアルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」ですが、大意は同じでも歌詞は多少変えているようです。 わずか45小節という小品で、アダージョの速度指定で歌われる、わずか3分程度の曲です。四部合唱と、ヴァイオリン2部、ヴィオラ、オルガンという構成になっています。モーツアルトの宗教曲の中では「レクイエム」と並ぶ傑作と言ってもよいでしょう。
華麗な声楽技巧は全くない、素朴な旋律の澄みきった静かな曲です。そして悲しいまでの美しさがある曲で、特に弦合奏のみの短い間奏の後にみせる転調後の美しさにはとても感動します。なんと素晴らしく美しい曲だろう・・・

 わずか45小節の小品でありながら、手元にあるHIROちゃんのいくつかの音源を聴いてみると最も短い演奏時間が2分31秒、最も長いのがカラヤンの演奏で3分57秒と、こんなに短い曲で、なんと1分30秒近くも違うのには驚きます。(参考に紹介の各音源での演奏時間を記しておきます)
HIROちゃんはアマチュアの一般合唱団で長く歌っていた経験がありますが、定期演奏会でのモーツアルトのレクイエムや、戴冠ミサ曲の後のアンコール曲として何回かこの曲を歌っています。その合唱団の指揮者の先生がこの曲の演奏時間にこだわりがあって、いつも3分30秒位の演奏時間で、「これ以上早い演奏では、この曲の美しさが伝わりにくい・・・」と仰っていたことを思い出しました。この指揮者の先生は数年前に亡くなられましたが、告別式では合唱団員全員で、この「アヴェ・ヴェルム・コルプス」を斎場で歌いました。もちろんHIROちゃんもいっしょに・・・
先生は宗教曲が得意で特にフォーレや、ビクトリア、ケルビーニのレクイエムをはじめ、グノーの「聖セシリアのためのミサ曲(荘厳ミサ)」などを得意とし、アンコール曲としてこの小品のモーツアルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」や、フォーレの「ラシーヌ賛歌」などの曲を良く指揮されていました。

さて、前置きが長くなりましたが、HIROちゃんの手元には現在、下記のLPレコードとCDがあります。とても短い曲なので「レクイエム」や、「戴冠ミサ」などのボーナス・トラックとしてカップリングされているのが殆んどで、他に「アヴェ・マリア」とか、「モーツアルト/小品集」などとして収録されています。
ここでは1曲ごとの評価はしませんが、演奏時間の長短はあるものの、それぞれ美しい演奏と言えます。

■ラファエル・クーベリック指揮/バイエルン放送交響楽団
レーゲンスブルク大聖堂聖歌隊 (LP) 3:26
1973年録音
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■コリン・デイヴィス指揮/ロンドン交響楽団
ロンドン・シンフォニー・コーラス (LP) 3:48
1971年録音
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■トン・コープマン指揮/アムステルダム・バロック管弦楽団・合唱団 
  録音 1994年  3:46
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■ニコラウス・アーノンクール指揮/ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
アルノルト・シェーンベルク合唱団  録音1986年  3:19
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■ペーター・ノイマン指揮/コレギウム・カルツシアヌム 
ケルン室内合唱団  1988年録音 2:44
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■ニコル・マット指揮
南西ドイツ・プフォルツハイム室内管弦楽団
ヨーロッパ室内合唱団、他   3:05
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■ヨハネス・ヴィルトナー指揮/カメラータ・カッソヴィア 
Kosice Teacher‘s Choir   2:48
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■ヘルムート・フロシャウワー指揮
ウィーン交響楽団/ウィーン少年合唱団  2:49
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■ペーター・マルシーク指揮
ウィーン・フォルクスオパー交響楽団
ウィーン少年合唱団    2:46
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■テオドール・グシュルバウアー指揮
フィリップ・カイヤール合唱団
ウィーン・バロック・アンサンブル
マリー=クレール・アラン(オルガン)  3:29
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■ロルフ・シュヴァイツアー指揮
フォルツハイム・モテット合唱団・室内管弦楽団  2:31
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■マーカス・クリード指揮/リアス室内合唱団
ベルリン放送交響楽団  3:26
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■ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮
ウィーン楽友協会合唱団/フィルハーモニア管弦楽団
3:57
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これらの演奏の中では、2種類のウィーン少年合唱団や、ペーター・ノイマン指揮/コレギウム・カルツシアヌム/ケルン室内合唱団によるやや早いテンポながら純粋で清らかな演奏も感動的ですが、祈りと感情を込めたゆったりとしたテンポでの演奏も何とも言えず感動します。
カラヤン指揮/ウィーン楽友協会合唱団・フィルハーモニア管弦楽団の演奏は前記のように演奏時間が3分57秒と実にゆったりとしたテンポの演奏で、深い悲しみが十分に伝わってくるのですが、なぜかこのCDはステレオですが音が悪いのが残念。
グシュルバウアー指揮/フィリップ・カイヤール合唱団/ウィーン・バロック・アンサンブルの演奏ではオルガンにマリー=クレール・アランを起用しているのが興味深く、演奏も感動的です。
クーベリック、デイヴィス、コープマン、クリードも良い。ただしアーノンクール盤は個人的にはオーケストラのアクセントに癖があり、あまり好みません。

それから参考までですが、HIROちゃんの手元に1985年6月29日にバチカンの聖ペテロ教会で行われた教皇ヨハネ・パウロⅡ世によるミサを実況した次のDVDがあります。

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ここではカラヤンの指揮でモーツアルトの「戴冠ミサ」が全曲演奏されます。
このミサの実況で最後に交わりの義の拝領の歌として歌われているのが「アヴェ・ヴェルム・コルプス」です。
このミサでは、システィナ礼拝堂合唱団、教皇庁立教会音楽学院聖歌隊、それにウィーン楽友協会合唱団が歌っているのですが、「アヴェ・ヴェルム・コルプス」ではカラヤンは祭司からパンを口に入れてもらう儀式に並んでいて、指揮はしてないことが映像から分かります。若干早目のテンポの演奏ですが、どの合唱団が歌っているのかも映像からはわかりませんが、実際のミサの実況での演奏として、雰囲気が感じられる興味深い映像となっています。

宗教曲などの合唱曲にあまり興味のない方にも、ぜひ聴いていただきたいモーツアルト傑作の名曲ですね。
では、今日は、このへんで…HIROちゃんでした。

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コメント

yositaka

なかなかいいのが
この曲はレコードで聴くものではないという暴言を吐いた人がいますが、どうも、そうらしくて、どれを聴いてもそっけなさすぎたり、沈みすぎたり、ぴたりとくるものには出会えません。ほとんどのものは「そっけなさすぎ」の部類と思います。
ここに挙げられた中では、やや沈みすぎの部類ですが、コープマンが好きです。
クーベリックも全体の構成は好きなんですが、何となく重すぎる。「いい曲」とだけ感じて聴ける録音が欲しいところです。

HIROちゃん

なんとなく・・・・・・・
yositakaさん
何となくわかりますね~~~
HIROちゃんは、それぞれ美しいと書きましたが、確かにこれという決定的な演奏はないですね。
この曲は確かに生で聴いたほうがいいですね。
HIROちゃんは、弦楽合奏や、電子オルガンの伴奏で、何回かステージで歌っていますが、歌っているともっと感動しますよ。

ハルコウ

思い出せません。
モーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」ニ長調 K.618は、歌った記憶があるのです。しかし、フォーレの「ラシーヌ讃歌」作品11同様、どこの演奏会で歌ったのか思い出せません。
この曲は、「レクイエム」K.626にカップリングされていることが多く、以前、聴き比べ用にCDを収集したときに、「アヴェ・ヴェルム・コルプス」も自然と集まってしまいました。
なかなかこれはと思う演奏が思いつきませんが、HIROちゃんさんのご紹介を参考に聴いてみたいと思います。
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