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名指揮者の名盤・名演奏(16)/指揮者としてのパブロ・カザルス

今回紹介する名指揮者は、パブロ・カザルスです。

カザルスと言えば、バッハの無伴奏チェロ組曲の再発見と全曲録音した名盤を残したチェロ奏者として有名ですが、指揮者としてもSP録音時代から活躍し、多くの録音を残しています。

 

パブロ・カザルスのプロフィール

チェロ奏者、指揮者。1876年スペインのカタロニア生まれ。1973年プエルトリコで没。11歳でバルセロナのガルシアに師事。マドリード音楽院で学び、1895年パリでデビュー。やがてティボー、コルトーとカザルス・トリオを結成、19年から指揮者としても活動する。39年スペイン内乱終結後にフランスへ亡命。以降フランコ政権承認国では演奏しないと宣言。バッハの無伴奏チェロ組曲の再発見や奏法の革新など、チェロ界に多大な影響を及ぼした。

2012/08/30 (2012/10/30更新) (CDジャーナル)

 

前記のようにカザルスはSP時代から多くの録音をしていますが、現在、彼の指揮した楽曲を多く聴くことが出来るのは、主にマールボロ音楽祭管弦楽団との演奏です。

指揮者としてもバッハ、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンなどに多くの名演を残していますが、HIROちゃんの手元にはチェロ奏者としての録音を除いた指揮者としてのカザルスの音源はそれほど多くは持っていません。現在手元にあるライブラリーは下記のとおりです。

■バッハ/ブランデンブルグ協奏曲 第1番~第6番 全曲

①カザルス指揮/プラド祝祭管弦楽団 他

[1950年、第1回プラド音楽祭~バッハ没後200年祭]

 ②カザルス指揮/マールボロ音楽祭管弦楽団 他

  録音:1964-65

■バッハ/管弦楽組曲第1番~第4番 全曲

カザルス指揮/マールボロ音楽祭管弦楽団 他

 録音:1966

■ハイドン/交響曲第45番 嬰へ短調「告別」

  カザルス指揮/プエルト・リコ・カザルス音楽祭管弦楽団

  録音:

■モーツアルト/セレナーデ ト長調k.525

  アイネ・クライネ・ナハトムジーク

カザルス指揮/ペルピニャン音楽祭管弦楽団

  録音:1951

■モーツアルト/ディヴェルティメント第11番ニ長調K.251

カザルス指揮/ペルピニャン音楽祭管弦楽団

  録音:1951

■モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲イ長調「トルコ風」()

協奏交響曲変ホ長調

E.モリーニ()I.スターン(Vn)W.プリムローズ(Va)

カザルス指揮/ペルピニャン音楽祭管弦楽団

録音:1951
■モーツアルト/交響曲第29番イ長調K.201

カザルス指揮/ペルピニャン音楽祭管弦楽団

  録音:1951

■モーツアルト/交響曲第35番ニ長調K.385「ハフナー」

カザルス指揮/マールボロ音楽祭管弦楽団

  録音:1967年

■モーツアルト/交響曲第36番ハ長調K.425「リンツ」

カザルス指揮/マールボロ音楽祭管弦楽団

  録音:1959年

■モーツアルト/交響曲第38番ニ長調K.504「プラハ」

カザルス指揮/マールボロ音楽祭管弦楽団

  録音:1968年

■モーツアルト/交響曲第39番変ホ長調K.543

カザルス指揮/マールボロ音楽祭管弦楽団

  録音:1968年

■モーツアルト/交響曲第40番ト短調K.550

カザルス指揮/マールボロ音楽祭管弦楽団

  録音:

■モーツアルト/交響曲第41番ハ長調K.551「ジュピター」

カザルス指揮/マールボロ音楽祭管弦楽団

  録音:

■ベートーヴェン交響曲第1番ハ長調 作品21

カザルス指揮/マールボロ音楽祭管弦楽団

  録音:1969年ライブ

■ベートーヴェン交響曲第2番

カザルス指揮/マールボロ音楽祭管弦楽団

  録音:

■ベートーヴェン交響曲第4番

カザルス指揮/マールボロ音楽祭管弦楽団

  録音:

■ベートーヴェン交響曲第6番ヘ長調 作品68「田園」

カザルス指揮/マールボロ音楽祭管弦楽団

  録音:1969年ライブ

■ベートーヴェン交響曲第7番イ長調 作品92

カザルス指揮/マールボロ音楽祭管弦楽団

  録音:1969年ライブ

■ベートーヴェン交響曲第8番ヘ長調 作品93

カザルス指揮/マールボロ音楽祭管弦楽団

  録音:1963

■シューベルト交響曲第5番

カザルス指揮/マールボロ音楽祭管弦楽団

  録音:

■シューベルト交響曲第8(7)番ロ短調「未完成」

カザルス指揮/マールボロ音楽祭管弦楽団

 録音:1968

■メンデルスゾーン交響曲第4番イ長調「イタリア」

カザルス指揮/マールボロ音楽祭管弦楽団

  録音:

■シューマン交響曲第2番ハ長調 作品61

録音:1970

 

 

指揮者カザルスの演奏は、個性が強く、アクセントの強いずっしりとした重々しい演奏が多いのですが、ヘルマン・シェルヘンのように特定のパートを大きくしたり、フルトヴェングラーのようなテンポのウネリなどはみられず、どちらかと言うと、インテンポで進んでいきます。また、音楽祭での寄せ集めオーケストラということもあり、ベルリン・フィルハーモニーOなどのような洗練された重厚な響きではありませんが、とにかく重い・・・という印象が強く、人によって好き嫌いがあるかもしれません。

ここでは特に印象の強いバッハとモーツアルト、ベートーヴェンの音盤について簡単に書いてみたいと思います。


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バッハの「管弦楽組曲」全曲と「ブランデンブルク協奏曲」全曲ですが、どちらも素晴らしい演奏で、特に「管弦楽組曲」はずっしりとした弦合奏が素晴らしいのですが、「ブランデンブルグ協奏曲」の4番、5番などは、チェンバロではなく、ピアノを使用しています。・・・ルドルフ・ゼルキンが弾いているとはいえ、HIROちゃんには、聴いていて少し違和感がありますが、様式にとらわれないカザルスの考えからでしょう。1950年録音のモノラル盤も持っていますが、ここでもピアノでの演奏です・・・


モーツアルトの交響曲についてですが、どの曲を聴いても明るいモーツアルトではなく、重々しい演奏でモーツアルトらしくないモーツアルトです。

時々、聴こえるカザルスの唸り声・・・重厚な力の入ったアクセント、時には荒々しくグロテスクに・・・モーツアルトの内面的なものを見せつけられるような感じになります。

「正に魂の演奏」・・・特に第38番「プラハ」などは、それを感じる演奏です。

また、第40番の第1楽章は、早めのインテンポで進みますが、凄まじい悲痛が伝わってきます。

第35番や第41番も、とても力の入った堂々とした重厚な演奏・・・第36番、第39番も同様、重厚で激烈な力演といえるでしょう。モーツアルトの音楽をベートーヴェンに近づけた演奏と言ってもいいかもしれません。

 これらのモーツアルトは、かなり強烈な個性の強い演奏ですが、何故か心の中を突き破ってくるような、重々しい迫力・・これは、カザルスでないと聴くことが出来ないかもしれません。

これらのモーツアルトの後期6大交響曲は名盤です・・・!


ベートーヴェンの交響曲ですが、「英雄」「第5番」「合唱」が無いのが何とも残念。あれば是非とも聴いてみたい曲です。

生き生きとした躍動感が素晴らしい「田園」、第8番も短い曲ですが生命力のあふれた演奏。そして第7番は90歳を超えたカザルスの指揮ですが重厚さの中にも迫力と緊張感のある演奏で感動的です。

なお、第2番と第4番(カップリングにシューベルト交響曲第5番)の2枚組のCDがあったはずですが、どこかに紛れ込んでしまったらしく行方不明で見つかりませんでした。

 

指揮者カザルスとしてのSP盤時代の録音は聴けないとしても、最晩年の演奏とは言え、マールボロ音楽祭管弦楽団と多くのステレオ録音を残してくれたことには感謝です。

 

ついでの話・・・カザルスの「バッハ/無伴奏チェロ組曲」の音盤について

現在、手持ちのライブラリーとして同じ音源ですが、東芝EMIのGR盤のLP3枚(GR2016、GR-2017、GR-2018)とCD3種類を持っています。

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これまでGR盤のLPレコードで聴くことが多かったのですが、古いSP録音の割には聴きやすい復刻盤ですが、「土管の奥底から鳴り響いてくる古めかしい音」との評価もありました。

最後に購入した2枚組CDのオーパス盤(OPK-2041/2)ですが、SP盤からの復刻とは思えない素晴らしい音質だと思います。原盤のSP盤の状態が良かったのと、マスタリングも上手くいったのでしょう。生で聴くチュロの音にちかい音で、SP録音が素晴らしかったことが分かりますね。

演奏そのものはあまりにも言いつくされた名盤ですので、何も書く必要はないでしょう。


では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。

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コメント

HIROちゃん

HIROちゃんからのお知らせ
訪問ありがとうございます。
現在、パソコンが都合により、使用時間に制限があり、あわてて書いているので、音源の録音年や、写真が何枚か抜けています。
後から追加します。

スマホからのお知らせでした。

シュレーゲル雨蛙

ご無理なさらぬように
了解いたしました。ご無理なさらぬように。
(カザルスの晩年の音楽祭録音は、CDのセット物を買いました。その後、レコード屋で一枚物を安く見かけたら購入するように。唸り声やシッみたいな息づかいで、途端にオーケストラが変化するのがうらやましい。年の功かしら?リスペクトされているのがよくわかります。)

yositaka

カザルスは戦前から指揮者としての活動を行っていました。スペインでバルセロナ・カザルス管弦楽団を創設した程です。録音もベートーヴェンの第1番・第4番、ブラームスのハイドン変奏曲を収録していて、晩年とほぼ同じ演奏スタイルでした。なお、このハイドン変奏曲は世界初録音です。
戦後のプラード、プエルトリコ、マールボロの音楽祭オケはカザルスのシンパみたいな名人が大体共通メンバーで入り、そこに若手が混じるスタイル。その若手もヨー・ヨー・マ、ストルツマンら、のちのスター演奏者になった人が多くいます。
彼の指揮はチェロ演奏をそのまま反映したようなゴツゴツとした、切れば血の出るような響きが魅力的ですが、ご指摘通り、楽譜にないアクセントが随所について、フレーズを固く引き締めます。でもそれも、60年代末期には変わってきて、荘重なオーソドックススタイルに変わってきました。63年録音のベートーヴェンの第8を、69年録音の第6、第7と比較するとその違いが判ります。指揮者として円熟し、その分野性味は少し後退しているかも。

私の好きなのはハイドンの「告別」モーツァルトの「リンツ」という、プエルトリコでの2曲。プラードでのブランデンブルク協奏曲の2番と4番、マールボロでのシューマンの第2とアイネ・クライネ。でも、他のもカザルスの演奏として徹底した、胸のすく演奏が揃っています。

ベートーヴェンの「英雄」は、プエルトリコでのリハーサルがYouTubeで見られます。おそらく同地には、まだ未知の音源や映像が多く残されているはずです。
https://www.youtube.com/watch?v=fp6Fmr5UZYE
https://www.youtube.com/watch?v=D5w0FcjQR6Y

HIROちゃん

唸り声も魅力のひとつかな・・
雨蛙さん、
コメントありがとうございます。
演奏中の唸り声や、しっ・・と言うのもカザルスの魅力でしょうか・・
同じ唸り声でも、トスカニーニは歌っていたり、グレン・グールドもピアノを弾きながら唸ったりメロディーをくちずさんだり、これらは聴いていても、気になる人は気になるかもしれませんが、カザルス同様、魅力の1つと捉えています。

HiROちゃん

第5番や第九も・・・
yositakaさん、
コメントありがとうございます。
確かにカザルスの指揮は彼のチェロをそのまま反映したような演奏ですね。

英雄の録音があるのはしりませんでした。まだ聴いていませんが、あとからじっくりと聴いてみます。
このような録音が残っていると、プエリトリコには、第5番や第九のライヴ録音があるかもしれないと、期待してしまいますね。あれば聴いてみたいですね。

近いうちにシューリヒトを書くのですが・・結構枚数も多く聞き直しも何の曲を聞き直しするか迷っています。また、以前とは少し曲によっては、好みや評価が変わったものもあり、記事は書きにくいです。
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HIROちゃん

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