今回は、クレンペラーのモーツアルトの序曲やセレナード、そして歌劇の主な曲について簡単に感想を書いてみます。
現在、HIROちゃんの手元にあるクレンペラーのモーツアルトの管弦楽曲は下記のとおりです。
■セレナード 第6番 ニ長調「セレナータ・ノットゥルナ」 K239
フィルハーモニア管弦楽団(1956年録音)
■セレナード 第10番 変ロ長調「グラン・パルティータ」 K361
(1963年録音)
■セレナード 第11番 変ホ長調 K375
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団(1971年録音)
ニュー・フィルハーモニア・ウィンド・アンサンブル
(1967年録音)
①ケルン・ギュルツェニッヒ管弦楽団
(1956/09/09ライブ)
②フィルハーモニア管弦楽団 (1956年録音)
③ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 (1964年録音)
■歌劇《魔笛》序曲 K620
フィルハーモニア管弦楽団(1964年録音)
■歌劇《後宮からの誘拐》序曲 K384
フィルハーモニア管弦楽団(1960年録音)
■歌劇《コジ・ファン・トゥッテ》序曲
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団(1964年録音)
■歌劇《フィガロの結婚》序曲 K492
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団(1964年録音)
■歌劇《ドン・ジョヴァンニ》序曲 K527
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団(1964年録音)
■歌劇《皇帝ティートの慈悲》序曲 K621
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団(1964年録音)
■アダージョとフーガ ハ短調 K546
フィルハーモニア管弦楽団(1956年録音)
■フリーメイソンのための葬送音楽 ハ短調 K477
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団(1964年録音)
以上: オットー・クレンペレラー (指揮)
クレンペラーはフィルハーモニア管弦楽団などと共に何曲かセレナードを録音しています。いずれの曲もクレンペラーらしい重厚で真面目な演奏と言えるでしょう。これといって大きな起伏のある表現はみられず、少しかための真面目な演奏といえると思います。
セレナード第6番「セレナータ・ノットルナ」ですが、とてもセレナードという感じの曲ではないのですが、好きな曲です。陽気な曲なので少し遊びがあっても良いとも思うのですが、クレンペラーは、とても真面目・・それでも、この曲の魅力は十分に味わうことが出来ます。
セレナード 第10番 変ロ長調「グラン・パルティータ」ですが、別名「13管楽器のためのセレナード」、ここでは演奏者「ロンドン・ウィンド・クインテット&アンサンブル」となっていますが、どのような楽団なのかはわかりません。フィルハーモニア管弦楽団の管楽器奏者を中心に構成された楽団なのでしょうか・・この演奏ですが、ややゆったりしたテンポの演奏で、この曲も大きな起伏のある表現はみられない、少しぶっきらぼうにも聴こえます。しかし良く聴くと結構デリケートに響かせる部分もあり、各楽器の音色も悪くありません。聴いていて飽きのこない演奏だと思います。
セレナード 第12番 ハ短調「夜曲」 ですが、セレナード唯一の短調の作品。「ニュー・フィルハーモニア・ウィンド・アンサンブル」は、名前からみてニュー・フィルハーモニア管弦楽団の奏者を中心に構成された楽団でしょう。セレナードという感じの曲ではない暗さを多く感じる曲ですが、重く暗い室内曲と言った感じでしょうか・・
セレナード 第13番 ト長調「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」ですが、モーツアルトの曲の中でも愛らしさを感じる可愛い曲ですが、クレンペラーは重さを感じる重厚な演奏で交響曲的と言えるでしょう。クレンペラーはこの曲を何回か録音していますが、1956年録音のフィルハーモニア管弦楽団との演奏が、最もクレンペラーらしさが出ていると思います。
セレナード以外では「アダージョとフーガ ハ短調」、短い曲ですがクレペラーは手を抜かず真正面から取り組んでいます。重苦しく重厚な演奏です。また、「フリーメイソンのための葬送音楽ハ短調」では悲痛なムードが良く表れた演奏だと思います。
歌劇の序曲集ですが、いずれの曲もテンポはクレンペラーとしては普通、中庸でしょう。重みのある中にも生き生きさがあります。全て素晴らしい演奏です。中でも個人的には《コジ・ファン・トゥッテ序曲》《フィガロの結婚序曲》《皇帝ティートの慈悲序曲》が素晴らしいと思いました。
クレンペラーのモーツアルトの『歌劇』
クレンペラーのモーツアルトの歌劇の架蔵している音源は下記の4曲で、いずれもEMIから発売されたCD11枚組のBOXです。
■歌劇《フィガロの結婚》全4幕
アルマヴィーヴァ伯爵: ガブリエル・バキエ (Br)
アルマヴィーヴァ伯爵夫人: エリザベート・ゼーダーストレーム (S)
スザンナ: レリ・グリスト (S)
フィガロ: ゲライント・エヴァンズ (Br)
ケルビーノ: テレサ・ベルガンサ(Ms)
マルチェッリーナ: アンネリース・ブルマイスター(Ms)
ドン・バジリオ: ヴェルナー・ホルヴェーグ (T)
ドン・クルツィオ: ヴィリ・ブロクマイアー (B)
バルトロ: マイケル・ラングドン (B)
アントニオ: クリフォード・グラント (B)
バルバリーナ: マーガレット・プライス (S)
二人の少女: テリーザ・ケイヒル、キリ・テ・カナワ (S)
合唱: ジョン・オールディス合唱団
合唱指揮: ジョン・オールディス
管弦楽: ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
指揮: オットー・クレンペラー
録音: 8, 10-13, 15, 16, 19-22, 25, 26, 29-31.i.1970,No.1 Studio,Abbey Road,London
■歌劇《ドン・ジョヴァンニ》全2幕
ドン・ジョヴァンニ: ニコライ・ギャウロフ (B)
騎士長: フランツ・クラス (B)
ドンナ・アンナ: クレア・ウォトソン (S)
ドン・オッターヴィオ: ニコライ・ゲッダ (T)
ドンナ・エルヴィラ: クリスタ・ルートヴィヒ (Ms)
レポレッロ: ヴァルター・ベリー (Br)
ゼルリーナ: ミレッラ・フレーニ (S)
マゼット: パオロ・モンタルソロ (Br)
管弦楽・合唱: ニュー・フィルハーモニア管弦楽団及び合唱団
ハープシコード: ヘンリー・スミス
指揮: オットー・クレンペラー
録音:15, 17-19, 22-25, 27-30.vi and 3-4.vii.1966, No.1 Studio, Abbey Road, London
■歌劇《コジ・ファン・トゥッテ》全2幕
フィオルディリージ: マーガレット・プライス (S)
ドラベッラ: イヴォン・ミントン (Ms)
フェッランド: ルイージ・アルヴァ (T)
グリエルモ: ゲライント・エヴァンズ (Br)
デスピーナ: ルチア・ポップ (S)
ドン・アルフォンソ: ハンス・ゾ―ティン (B)
合唱: ジョン・オールディス合唱団
合唱指揮: ジョン・オールディス
管弦楽: ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
指揮: オットー・クレンペラー
録音: 25.i-18.ii.1971, Kingsway Hall, London
■歌劇《魔笛》全2幕
タミーノ: ニコライ・ゲッダ (T)
パミーナ: グンドゥラ・ヤノヴィッツ (S)
パパゲーノ: ヴァルター・ベリー (Br)
夜の女王: ルチア・ポップ (S)
ザラストロ: ゴットロープ・フリック (B)
弁者: フランツ・クラス (B)
第1の侍女: エリーザベト・シュヴァルツコプフ (S)
第2の侍女: クリスタ・ルートヴィヒ (Ms)
第3の侍女: マルガ・ホフゲン (A)
パパゲーナ: ルート=マルグレート・プッツ (S)
モノスタトス: ゲアハート・ウンガー (T)
第1の武者: カール・リーブル (T)
第2の武者: フランツ・クラス (B)
第1の僧侶: ゲアハート・ウンガー (T)
第2の僧侶: フランツ・クラス (B)
第1の童子: アグネス・ギーベル (S)
第2の童子: アナ・レノルズ (S)
第3の童子: ジョゼフィーン・ヴィーズィ (S)
合唱: フィルハーモニア合唱団
合唱指揮: ヴィルヘルム・ピッツ
管弦楽: フィルハーモニア管弦楽団
指揮: オットー・クレンペラー
録音: 24, 26, 31.iii and 1-4, 6-8, 10.iv.1964, Kingsway Hall, London
これら4曲のオペラですが、今回、全て聴き直したのですが、いつもブログで書いているように、オペラは少し苦手・・長時間のオペラを日本語の対訳を見ながら聴くのは、かなりの体力と根性が必要。まして、あまり聴いた回数の少ないオペラは対訳を追っかけるのに精いっぱいという感じで、名演奏なのかどうなのかも正直良くわかりません。なので、オペラはDVD映像で鑑賞する時は別として、CDで聴く場合には、ただの音楽として聴き流したり、好きな部分やあまり聴いていない部分の「つまみ聴き」が多くなってしまいます。
そんなことで、このクレンペラーの4曲は名盤・名演奏なのか良くわかりませんが、凄いと思うのは4曲とも豪華な独唱陣の歌唱!・・特に主役の独唱者の歌唱は素晴らしいと思いました。
これらの曲の中では「魔笛」が大好きで、この曲ならかなり多くの演奏を聴いているので、対訳無しでも楽しめます。この「魔笛」はジングシュピールで、台詞がある曲ですが、クレンペラーの録音では台詞が全てカットしてあります。個人的には台詞入りの方が良いのですが、台詞がカットされた録音でも「魔笛」そのものの良さが損なわれるというほどではないのですが、やはり台詞が欲しかった‥と言うのが聴いた感想です。
まとまりのない感想になりましたが、今回聴いたクレンペラーの中から名盤・名演奏ってどれだろう・・?・・
セレナード 第10番 変ロ長調「グラン・パルティータ」、「アダージョとフーガ ハ短調」それに歌劇の「序曲集」と言ったところでしょうか・・
次回はクレンペラーのベートーヴェンの作品かな?・・HIROちゃんの好きな交響曲第5番「運命」や、「ミサソレムニス」など、名盤・名演奏も多い。
では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。
HIROちゃん
プロフィール
Yahooブログが終了のため、こちらに引っ越してきました。
F2ブログの機能に慣れていませんが、よろしくお願いします。
Yahooブログからの記事は全て残っていますが、コメントまでは引っ越しできませんでしたので、Yahooブログでのコメントは全て消えています。また、写真等、お見苦しいところが一部あります。ご了承ください。
コメント
シュレーゲル雨蛙
モーツァルトのグラン・パルテイータはいまだに苦手です。ほんとうにとっつきにくい。これはクレンペラーと関係なく。勉強しないといけませんね。
2023/06/12 URL 編集
yositaka
私がこの指揮者を新古典主義と呼ぶのはそのためで、実に斬新です。
ただ、こういう人がオペラに向いているのかは微妙で「フィガロの結婚」全曲はまさにそういう解釈を突き詰めていて、ドラマ的要素が希薄。ところが「魔笛」は、それが気にならないんですねえ。台詞のカットも気になりません。
シュレーゲル雨蛙さん、「グラン・パルテイータ」は難物でした。ところがある時期から、大好きになって…いまは聴く頻度が多いです。きっかけはヴェーグの盤でした。
2023/06/12 URL 編集
HIROちゃん
コメントありがとうございます。
魔笛は好きな作品なので20種類以上の音源を持っています。
ジングシュピールは、歌芝居なので台詞がありますが、ジングシュピールもオペラとしてあつかっていますね。
単純に歌芝居なので台詞つきを好んで聴いています。変わった魔笛の録音でフェレンツ・フリッチャイ指揮のがありますが、この録音は、台詞の部分は歌手ではなく、別の声優さんの声で録音しているので、違和感があります。
1950年のカラヤン盤、1955年のベーム盤ともどちら持っています。
台詞はカットしていますが、劇としては台詞がないので、個人的には少し物足りなさを感じますが劇中で歌われるアリアや重唱を聴くだけでも魔笛の魅力は十分味わうことはできますね。DGに録音したべーム盤では台詞つきですが1955年盤の台詞なしも名盤でしょう。
フィガロ、ドン・ジョヴァンニ、コジを名盤としてあげなかったのは、単純に聴きこんでいないためです。
セレナード13管楽器は名盤かどうか迷うところですが、バランスのとれた演奏に感じました。
2023/06/13 URL 編集
HIROちゃん
コメントありがとうございます。
クレンペラーの演奏は・・・
《瞬間瞬間の音の重なりを・・》と言われると、なるほどと思いますね。クレンペラー特有の重厚な響きも、そんな瞬間瞬間の音の重なりから生まれるのでしょうね。
クレンペラーの演奏は、テンポの遅い演奏が多く、確かに起伏の激しさが少ないのですが、じっくり聴くと音のバランスが良く、感情の表現がみられる部分もありますね。
ヴェーグ盤の演奏、機会があればぜひ聴いてみたいですね。
2023/06/13 URL 編集
ルーネスノヘヤスワフ・キリフィッシュマン・ウオドロフヴィチ・ジャクリーンズ
コンサート高くて。
映画は観ていますが。
近年はコロナ禍で、高校生のブラスバンドも聴けなかったね。辛かった。
2023/06/13 URL 編集
HIROちゃん
1度くらいは見てみたいです。
2023/06/13 URL 編集