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アンプ設計ミス/ヒーター・バイアス

■設計ミスの修正と
  ヒーター・バイアスについて
 
前回の投稿のとおり最近、設計・製作し記事を投稿し2台のロフチン・ホワイト・アンプに大きな設計ミスがありました。絶対に修正前の回路をマネして製作しないで下さい。
回路図は修正し、あらためて過去の記事は直しましたが、いつも書いているように、同じ回路での製作をお薦めしているわけではないことをご理解のうえ、参考にしないで下さい。
同じ回路で製作した場合の、事故等について投稿者としての責任は一切もちません。
 
今回の設計ミスの内容は下記の内容です。
(前回の投稿記事と内容が重複します)
(1)コンパチブル・ロフチン・ホワイト・シングル・アンプ
  (6F6/6V6/6L6/6GA4兼用)
 
  
  この回路では出力管のカソードに100Vの電圧
  がかっていますが、ヒーターがアースされて
  います。
  6F6のヒーター・カソード間の電圧の最大規格は
  90V、6GA4は100Vです。
  そのため、ヒーター片側はアースではなく、数十V
  のヒーター・バイアスをかけないと駄目です。危険
  です。
  
 
(2)1626パラ・シングル・ロフチン・ホワイト・アンプ
 
  
 このアンプも同じです。1626のカソードに120V
 がかかっていますので、これもヒーターのアース
 ではなく、数十Vのヒーター・バイアスをかけない
 と駄目です。 危険です。
 
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 それでは、今回の設計ミスのアンプにおける、ヒーター・バイアスとは、何なのか説明します。
 
空管の規格にはカソード・ヒーター間における最大電圧(耐電圧)があります。(但し規格表に記載されていない真空管もあります)
この電圧をオーバーすると真空管の中でスパークしたりして、真空管が破損するばかりでなく、アンプを壊してしまう事にもなります。ですからアンプを設計する場合、この電圧を超えるような設計をしてはいけません。
 
特に電圧増幅回路として多用されるSRPP回路でのカソード電圧や傍熱出力管を使用したロフチン・ホワイト・アンプなどの直結アンプでは、カソードに高電圧がかかります。
今回の6F6三極管接続のコンパチブル・ロフチン・ホワイト・アンプを例に説明しましょう。
前記のように6F6-GTのヒーター・カソード間の電圧の規格は最大90V、コンパチで挿し換える6GA4の最大規格は100Vです。今回のアンプで6F6-GTを使用した場合、修正前のヒーター回路では巻き線の片側をハム防止のためにアースしていますので、6F6のカソードの電圧が96Vですからヒーターとカソード間の電圧も96Vとなり、6F6の最大規格の90Vをオーバーします。
ですから6F6の規格の90V以下にするための方法がヒーター・バイアスなのです。
 
修正後の回路図で説明しましょう。
回路図の右側が切れて見える時は、回路図を
クリックしてください。
 

この回路図の場合、黄色で示したように6F6のカソードに96Vが、かかっていますが、B電源の2個のブリーダー抵抗から分圧した50Vをヒーター巻き線の片側に接続します。そうすると実際にカソードとヒーター間の電圧は、96V-50V=46Vとなり、規格以内の電圧となるのです
B電源からとる場合には規格内の電圧となるよう分圧する抵抗値を計算しますが、規格内になれば、大体の抵抗値でかまいません。
この場合、間違ってもヒーター巻き線の片側などをアースしてはいけません。アースしたらショートするのは分かりますね。
なお、この回路の場合には、ブリーダー抵抗も兼ねていますので、平滑回路のデカップリング抵抗とあわせて計算しないと、ドライブ管の適正なプレート電圧が得られません。また、ロフチン・ホワイト回路では、出力管の適正なバイアス電圧が得られないと言う事にもなります。ロフチン・ホワイト回路では、直結のため、出力管のカソード電圧から前段ドライブ管のプレート電圧を引いた値が、出力管のバイアス電圧になるためです)
従ってロフチン・ホワイト・回路の設計では重要な部分です。
 
「これでハムが出ないのか・・・?」 と心配されるかたもいるかもしれませんが、ヒーター・バイアスは、ハムの低減にも大きな効果があります。
ですから、SRPP回路などでないときやSRPPドライブでもカソード電圧がそれほど高くなく、しかも出力管が自己バイアスの場合、電圧増幅管のヒーターの巻き線に、出力管のバイアス電圧をかける方法もあります。昔の既製のメーカー製のアンプ回路では、ハム防止に良く見られた方法です。
(バイアスが深い古典管の2A3をCR結合や、トランス結合で出力管として使用した場合、通常の動作例から見ると自己バイアスで45Vの電圧が得られますので、この電圧を利用してドライブ管にヒーター・バイアスをかけることも出来ます)
 
その方法の例として、下記に回路図をしまします。
 

この回路の場合、6AH4のバイアス電圧21Vをヒーター巻き線につなげばOKです。勿論、この場合にも、ヒーター巻き線からアースしてはいけません。
私のこれまでのアンプ作りの経験上、私見ですが、特に真空管式プリ・アンプやフォノ・イコライザーなどでは、ヒーター線のアースより、ヒーター・バイアスの方が、ハムが少なかったことが多いように感じました。
 
■コンパチブル・ロフチン・ホワイト・アンプの回路図
  と記事の修正をしました。こちらの記事です。
    ↓
 
■1626(VT-137)パラ・シングル・ロフチン
  ホワイト・アンプの回路図と記事を修正しました。
     1626の規格表には、ヒーター・カソード間の最大電圧の規格が
   書かれていません。古典管の場合、この電圧が50V程度の真空
   管もあります。そのため、このアンプでは1626のカソード電圧が
     120Vのため、76Vのヒーター・バイアスをかけて、実質、ヒータ
   ー・カソード間電圧を120V-76V=44Vとしました。
   ↓ 
 
 
では、今日は、このへんで・・・・・HIROちゃんでした
 
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